Interview 多彩な役割を担いながらスポーツの感動を伝える

今の仕事について

私はスポーツディレクターとして、スポーツ中継と動画の制作をしています。中継現場では、スポーツのルールに精通する審判係であり、解説・実況解説への説明係であり、カメラマンへの指示係であり、会場の案内係であり、控え室の掃除係です。それらをまとめて言うとディレクターです。映像制作では、撮影監督であり、インタビュアーであり、カメラマンであり、脚本家です。ロケのお金を管理するので経理でもあります。それらをまとめて言うとディレクターです。スポーツ制作の仕事は多岐にわたるので、刺激的で私にとっては楽しいです。

一番感動した仕事について

2025年8月、女子ゴルフ日本人史上6人目の海外メジャー制覇、山下美夢有プロ全英女子優勝の瞬間を中継した時は心が震えました。U-NEXTで配信されたゴルフの海外メジャーにおいて、「日本勢徹底マークチャンネル」を制作しました。この配信は、現地ウェールズの山下美夢有プロ専用カメラの映像を東京で受信しスイッチングするスタイルでしたが、大会期間中、イギリスとの時差8時間の昼夜逆転生活、さらに海外のネット回線がダウンして3台のカメラのうち2台が真っ黒に。1台のカメラとスローVTRを駆使して何とか配信を続けました。そうしたいくつもの困難を乗り越えて迎えたその瞬間は特別な思いがありました。

初めてのチーフディレクターのデビューは

「死ぬまでスタジアムに来ます」

おばあちゃんサポーターの目は輝いていました。これは私が初めてチーフディレクターをしたFC今治のドキュメンタリーのエンディングで使用したインタビューコメントです。このドキュメンタリーではクラブの会長を務める岡田武史さん(元サッカー日本代表監督)が構想するJ1昇格を目指すFC今治の成長と街づくりを掛け合わせた「共助のコミュニティ」。その取り組みに迫るためFC今治に密着しました。岡田会長やスタッフ、ボランティア、サポーターの方々にインタビューをして見えてきたのはサッカーをきっかけに形成される生活や人生の営みでした。今治のことを知ってほしい、わかりやすく伝えるにはどうすれば良い?が初チーフでの悩みでした。そんな中で、冒頭のコメントは、おばあちゃんの人生とFC今治へのエール、この作品を通して私が伝えたかったことの答えだと感じ、映像の結末に据えることで作品を締めくくりました。

これからの目標

全英女子の山下プロ優勝の瞬間を中継できたことで、次はメダリストの密着ドキュメンタリーを手がけたいと思うようになりました。試合という舞台に上がる前の準備、結果が出た後の後日談をどのように撮影するとより良く映像にすることができるか工夫を重ねていきたいです。またそういった映像のディレクターを務められるよう日々勉強と情報収集を心がけています。

ある1日の
スケジュール
Schedule

  • 9:00

    始業開始
    花園ラグビー場へ直接現場入り。学生時代にラグビーをしていた私にとっても聖地です
  • 9:45

    全体打合せ
    チーフディレクターとして制作・技術スタッフに構成の説明
  • 10:30

    配信開始
    第1試合の中継ディレクターを担当
  • 11:55

    昼休憩
    先輩の中継を見ながらお弁当を食べます。中継は体力勝負です
  • 13:20

    配信開始
    第3試合の中継ディレクターを担当
  • 14:45

    待機
    先輩の中継を勉強させてもらいます。一日最大5試合中継することも
  • 16:00

    配信終了・撤収作業
  • 18:00

    勤務終了
    お疲れ様でした!